tacassi noob!

『天才たちの日課』(メイソン・カリー、フィルムアート社、2014)という本に、ヘンリー・グリーン(Henry Green)という英国の作家の話が出てくる。日本では殆ど知られていないというか、翻訳本を見つけられないんだけど、取り敢えず『Loving』というのを国会図書館の検索で見つけた。それによると生没年が1905~1974年になってる。

ところが、英語の Wikipediaでは没年が 1973年12月13日となっている。New Yorkerの記事にも「1973年の彼の死」と書いてある。国会図書館の「1974年」はどこから来たのかなぁ、なんて思った。ちなみに国会図書館所蔵の『Loving』は 1949年にニューヨークの Viking Pressというところから出されているので、この本に彼の没年が記載されていないことは確かだ。初版はロンドンの Hogarth Pressから 1945年。LCでも没年は1973年となっている。

そもそも私はヘンリー・グリーンという作家を知らなかった。考えてみれば世界中にはそうやって一介の庶民的日本人が知ることのない小説家が数限りなく居る(居た)。たとえ何かのきっかけでそんな作家の存在が気になったからといって正確なパーソナルデータに一発で到達できるとは限らないんだな、て思った。ある程度までは迫ることが出来ても何もかもが検索可能なわけじゃなくて、やっぱりモヤモヤっとした輪郭の不鮮明さのようなものが残されてしまう。

ちなみに、Geminiになった Bardでは「1973年没」。Wikiを参照してるね、きっと。


▼英語版 Wikipedia:Henry Green
https://en.wikipedia.org/wiki/Henry_Green

▼THE NEW YORKER「The Novelist of Human Unknowability」(2016-10-10)
https://www.newyorker.com/magazine/2016/10/17/the-novelist-of-human-unknowability

▼LC:Loving (1949年版)
https://lccn.loc.gov/49010679

▼国立国会図書館:『Loving』(Green, Henry, 1905-1974)
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000006203395
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