tacassi noob!

業務アプリ作って35年、が好き勝手に語る
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2007年を時代の大断層として、その前後の統計データは慎重に吟味しなきゃいけないんだろうな、と思った。

たまたまミュンヘンクロノタイプ質問紙というのに出遭って、「睡眠の朝型・夜型判定ができるし、睡眠不足の度合いとかソーシャルジェットラグについてわかる」というのでやってみた。

結果
・クロノタイプ:3.09=やや朝型
・無理のない睡眠スケジュール:00:15~06:02
・睡眠不足度:1日あたり25分の不足
・社会的ジェットラグ:1.65時間

へぇ~、ふだんから私は自分の寝不足がひどいと思っていたけど、実はそんなでもないのか、なんて最初は思ったんだ。けど、これ、「平日」と「休日」の睡眠の差を見てるだけで、差がゼロなら睡眠は足りていてジェットラグも無いと判定されるらしい。

この質問の主眼はあくまでも朝型・夜型の判定であって、睡眠不足度とかジェットラグとかの判定は実際的ではない。2003年にドイツの先生が考案したらしいけど、その後の 20年間で情報環境や就業スタイルが大いに変わっているし、そもそも世界的に見ても睡眠時間が少ないと云われている日本人に適用できるのかとか疑問がわく。

そう。日本人は睡眠時間が韓国と並んで短いと云われている。でも、それ、どれくらい妥当なのかな。

そこでそのハナシのソースを探してみたら OECD「世界における時間の使い方」に行き着いた。世界の国別の睡眠時間比較とかでよく出てくるやつらしい。これによると OECD 33か国全体の平均は 8時間29分、そのなかで日本は 7時間42分、いっぽう最長は南アフリカの9時間13分、アメリカは8時間59分、そして肝心のドイツは8時間18分だそうだ。

だが、このデータ、実は調査時期が揃っていなくて、日本は2021年、アメリカ、オーストラリアは2022年のデータらしいし、そのほかの国は別の年で、その大半は古すぎて意味を持たないんじゃないかな。インド、ポルトガルは1999年とか。ドイツは2013年の値らしい。

なんで古すぎて意味を持たないと思うのかというと、2007年の Apple社の iPhone登場以前のデータが8か国も含まれているからだ。日本国内でスマホ普及率が 6割超えしたのが 2013年だそうだけど、それ以前を数えると 33か国中 23か国になる。

スティーブ・ジョブズの発明のおかげで人類は「第二次睡眠不足時代」に突入たようなもので、こういうデータの意味には注意深くならないといけないと思う。(ワットの蒸気機関が速度へのあくなき追求に火をつけて、第一次睡眠不足時代をエジソンの白熱電球がもたらしたと言えるだろう。ジェームズ・ワット、トーマス・エジソン、スティーブ・ジョブズで人類発展の三悪人だなw)

▼OECD Time Use Database:
https://www.oecd.org/content/dam/oecd/en/data/datasets/time-use-database/OECD-time-use-database-updates.xlsx

在日ドイツ大使館のツイート(2021年3月)によると、ドイツ人の平均睡眠時間は 6時間59分だそうだから、日本人より短いことになる。ちなみに、前述のOECDデータだと 2013年データでドイツは 8時間18分だそうだ。つまり、このツイートから考えると、スマホの登場以降にドイツ人の睡眠時間が1時間以上も減ったということじゃないかな( https://x.com/GermanyinJapan/status/1372752437702926348 )。

手のひらサイズの米国製製品がドイツ人から睡眠時間を毎日一時間も奪いつづけている――なんて、戦争勃発に匹敵するインパクトなんじゃないの? w

いずれにせよ、「ミュンヘンクロノタイプ質問紙」は使い方に気をつけないと、ね。一年365日、平日も休日もなく毎日が「オン」な生活だとすると、午前1時就寝5時起床の4時間睡眠であったとしても、睡眠不足度はゼロ、ジェットラグもゼロになる。

2003年のドイツの先生が、そんな生活を想定していなかったことは容易に想像できる。だって、スマホなんてなかったし、ネットで昼夜の区別なく人間が活動する世界なんて想像もしていなかっただろうから。

そもそも、朝型・夜型とかの区別自体が、あまり役立たないような時代になってないかい? みんなで一斉に働くというのが前提な社会向けの区別だよな。2007年以前の。

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