tacassi noob!

台所の片隅に、適当な大きさに切った古新聞紙を吊るしている。新聞紙の隅に錐で穴をあけて、カードリングと目玉クリップを使ってワゴンの縁にぶら下がるようにしてある。

実はウチは新聞をとっていないので、この古新聞は某所で要らなくなった英字新聞を時々もらって来ているもの。残飯や廃油の処理に、この古新聞が我が家では活躍している。いまぶら下がっているのは去年の年末の頃の日曜版。なので、クリスマスギフトの広告や書評特集が載っている。その紙面を見て唐突に思い出した。

アメリカで「メリークリスマス」は禁句。

「ポリティカルコレクトネス」(Political correctness、政治的妥当性)という奇妙なものが米国にはあって、市井ではかなり不評らしい。たとえば、キリスト教徒でない人達に失礼だから「メリークリスマス禁止」らしい。2005年頃から某世界的大手通販企業が始めたとか何とか。だから「メリークリスマス」じゃなくて「ハッピーホリデー」だし、クリスマス休暇ではなくて冬休みと表現しなきゃいけないらしい。あらゆる差別的表現をなくそう、ということらしい。

バカらしい。

これを敷衍すると、議会証言や大統領宣誓とかで使う聖書に左手を載せて宣誓する、というのもダメだろ。聖書だよ? 他言語を喋る人に気の毒だから英語禁止、という論理も通っちゃうんじゃないの? 創世は神の「言葉」から始まったんだから、宗教がダメなら言語も駄目でしょ。

ほかにも「アファーマティブアクション」(Affirmative Action、積極的格差是正措置)なんてのがあって、これ、まったく非科学的なんだけど制度として成立している。なら、米大統領にマイノリティ枠を確保すべきだろ。「黒人初」「女性」「ふたりめのカトリック教徒」とかが話題になるんだから。

日本では、大学の理工系に女子枠を作るとかやってるみたいだけど、施策の正当性を裏付ける科学的なエヴィデンスはあるのかね? もっぱら政治的、広告的なんじゃないかと思われてくるんだけど。つまり人気取りということ。大学の入学枠云々よりも以前に、問題の核心があるんじゃないのかな。生まれた子どもが成長してたどるタイムライン上に色々と原因がちりばめられてるんじゃないの? 

家政学部の入試に男子枠を作ることを考えれば、直感的に違和感を感じると思う。いや、そもそも女子大が存在できないじゃん。

こういうの、もともとは日本にはなかったはずのエスカレーターの片側空けと似たようなニオイを感じるんだ。胡散臭い、てやつ。胡散臭さを解消するには個々人の問題意識が必須なんだけど、災害立国の日本では、脊髄反射で生き延びるのが代々のデフォだから、ニュアンスとフィーリングでアメリカの真似をするしかないのな。迫る災害を前にして問題意識なんて発動して「ん~、この場合逃げるべきか否か」なんて悩んでたら死んじゃうから、ね。とりま、脊髄反射でゴー。

こういうこと言ったり書いたりすると、お前は差別主義者かとか言い始めるのがいるみたいだけど、ズレてんだよ。
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